定年後の生活を考えて今すべきこととは
今回ご紹介した平均金額は恵まれた一例ですので、もちろんそこまで達していない世帯も多く存在します。しかし定年を目の前にして貯蓄がほとんどないことに不安を抱えている人も、今一度この4つの柱のバランスについて考えてみましょう。
先ほどの生命保険文化センターによる「生活保障に関する調査」の調べでは、ゆとりある老後を過ごすためには月に約36万円必要になるといわれています。年金・退職金でまかなえそうにない場合は貯蓄・労働に重きをおいてバランスをとる必要がありますが、例えば再雇用によって月収17万円ほどになったとしても、5年働けば1,000万円、10年で2,000万円に到達します。
実際に、総務省統計局が令和2年1月に発表した「労働力調査(基本集計)2019年(令和元年)平均(速報)結果の要約」によると、65歳以上の就業者数は892万人と30万人以上増加していることも分かっています。
自分・または世帯主の雇用体制によって国民年金なのか、厚生年金なのか、退職金はあるのかといった部分に差が出てきます。そこをしっかり押さえたうえで、今からどのくらい貯蓄をしていけばいいのか、再雇用で資金を増やす手立てはないのか、具体的な計画をたててみるといいでしょう。
不安感から不要な投資に走りすぎては、貯蓄を目減りさせてしまうリスクを抱えることにもなります。しっかりと自分たちの生活と老後に向き合い、堅実に一歩ずつ準備をすすめていきましょう。
【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。
【参照】
生活保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」
厚生労働省「国民生活基礎調査」(各種世帯の所得等の状況)
日本年金機構「令和2年4月分からの年金額等について」
厚生労働省「平成30年就労条件総合調査-退職給付(一時金・年金)の支給実態」
厚生労働省「70歳までの就業機会確保(改正高年齢者雇用安定法)」
総務省統計局「労働力調査(基本集計)2019年(令和元年)平均(速報)結果の要約」
古谷 梨子