非正規職員の人数は正社員男性の約3倍、女性正社員の5倍弱と大きな違いがあります。増加人数から見てもわかるように、非正規職員の対前年度比増加人数は正規職員の8倍、女性に至っては14倍です。

この差は、給料の差に直結し、また老後の所得格差の遠因にもなっています。

65歳過ぎても勤務できる方は老後の一定期間、収入を確保することが可能だからです。

一方、60~65歳で退職した方は年金と蓄えで生活するようになりますから、十分な蓄えがないまま、60代半ばで仕事を退職すると、生活費の不安を抱えたまま、老後生活に突入することになります。

資産の格差はどれほどか

それでは、実際、老後資産の格差はどれくらい生じているのでしょうか。

総務省統計局が発表している「家計調査報告(貯蓄・負債編)2019年平均結果(二人以上の世帯)」に高齢者世帯に関する記述があります。こちらをまず見ていきましょう。

二人以上の世帯のうち、世帯主が60歳以上の世帯、いわゆる高齢者に属する世帯の貯蓄分布を下記に示しました。

高齢者世帯の貯蓄現在高階級別世帯分布(二人以上の世帯)

貯蓄保有世帯の平均値・・・2,285万円
貯蓄保有世帯の中央値・・・1,506万円

  • 300万円未満・・・15.8%
  • 300~500万円未満・・・6.9%
  • 500~1,000万円未満・・・15.8%
  • 1,000~1,400万円未満・・・10,8%
  • 1,400~2,000万円未満・・・11,1%
  • 2,000~3,000万円未満・・・13.5%
  • 3,000~4,000万円未満・・・8.5%
  • 4,000万円以上・・・17.3%

300万円以下の世帯が15.8%、そのうち100万円未満の世帯は8.5%と、非常に高い値となっています。

一方、1000万円以上の資産を保有する世帯も多く、2,500万円以上の世帯は全体の32%を占めています。