プロスペクト理論とは
プロスペクト理論とは、「不確実性下での意思決定を行う際に、人間本来の認知バイアスを取り入れた意思決定モデルである」(※2)。
少し難しいですね。
プロスペクト理論を噛み砕くと、「人間には損失を過剰に恐れる傾向がある」ということです。もう少し具体的にすると「人間は、目の前に利益があるとそれを失うリスクの回避を優先し、損失が目の前にあると損失そのものを回避することを優先する」ということです。
プロスペクト理論の詳細と、同理論が投資に及ぼす影響について解説します。
あなたはどちらの選択肢を選びますか?
いきなりですが、ここで問題です。
(1) AとBのどちらを選びますか?
A:無条件で100万円もらえる
B:コインを投げて表が出たら200万円がもらえるが、裏が出たら1円ももらえない
筆者はAを選びました。実際、Aを選択する人の方が多かったみたいです。
では次の問題です。
(2) あなたは200万円の借金があります。そのとき、AとBのどちらを選びますか?
A:無条件で借金100万円が減る
B:コインを投げて表が出たら借金が全額免除されるが、裏が出たら借金は1円も減らない
(1)の問題と期待値は同じなので、(1)でAを選んだ人は今回もAを選択しそうですが、(2)ではBを選択した人の方が多いそうです。ちなみに筆者もBを選択しました。
プロスペクト理論をもう一度確認します。
「人間は目の前に利益があるとそれを失うリスクの回避を優先し、損失が目の前にあると損失そのものを回避することを優先する」
(1)では利益を失うリスクを回避するために無条件で100万円をもらい、(2)では200万円の損失そのものを回避するためにコインを投げるということです。
人間はほんの少しの状況の違いで、行動が180度変わることをご理解いただけたかと思います。
プロスペクト理論が投資に与える影響
「株を売って利益を確定させたら株価がもっと上がって後悔した」
「マイナスになっている株の株価が上がってきた時、購入金額まで戻ることを期待して、株を売却しなかったら逆に値下がりした」
これはまさにプロスペクト理論の示す人間の不合理性の代表例となります。得られたかもしれない利益を逃して、逆に損を増やしてしまっています。
ではどのように対処したらいいのでしょうか?