鍾乳洞に入ると、天井から垂れ下がる鍾乳石のツララをよく見かけます。これは、岩石が溶けるのとは逆反応、すなわち炭酸水素カルシウムを含んだ水が天井から滴下する間に、二酸化炭素が空気中に放出されると元の炭酸カルシウムに戻るからです(反応2)。長い年月をかけて、これが繰り返されると石のツララが成長します。
水道水を温めた時の化学反応は、反応2に相当しますので、水に溶けない石ができることになります。同じやかんや電気式ポットを使って長期間お湯を沸かしていると底に石が溜まります。これが水あかの正体です。
この水あかを出す反応2では、水中のカルシウム濃度が減少するわけですから、水はより軟水になります。一方、カルシウムなどの濃度が高い硬水は洗濯には適さない水です。理由は、石けんがカルシウムなどと反応して水に溶けない沈殿物(石けんカス)を作り、洗浄力が落ちるからです(最近は石けんカス生成を抑える洗剤もある)。
つまり、加熱した水を使った方が洗濯の効率が上がるわけで、「洗濯にはお風呂の残り湯を使え」と昔から言われているのはこのためです。このように、洗濯でもやかんの水あかができるのと同じ反応が見られます。
水あかを溶かすには
工場などで水が通っている細い蛇管の内部に溜まった水あかを掃除するのには、古くからリン酸のような酸性物質が使われてきました(塩酸や硫酸は強い酸で管を腐食させるため使われない)。