酸性飲料は入れ物に注意

この事故を受け、厚生労働省は、やかんや水筒など金属製の容器でスポーツ飲料などを飲む際には注意するようツイッターなどで呼びかけました。

金属製の容器(やかんや水筒)は酸性の飲み物と反応し、金属が溶けだすことも考えられるので、スポーツ飲料、炭酸飲料、乳酸菌飲料、果汁飲料、ビタミンCやクエン酸を含んだ清涼飲料水などを入れる場合には注意が必要です。

容器内部にさびや傷がないかの確認はもとより、長時間入れたままにしないよう気をつけること。また、上述のようにお酢・レモン(クエン酸)でやかんなどの水あかを時折掃除することも大切です。

ポカリスエットを製造・販売している大塚製薬の友人は「金属製容器でポカリスエットを保存することは、基本的に推奨していない。スポーツ飲料対応の水筒ならOK」と話してくれました。

最近の水筒の内部はフッ素樹脂でコーティング加工されているものが多く、安心して使えることを売りものにしていますが、一方で、そのコーティング樹脂は人体に悪影響を与えないのかという心配もあります。これらについては別の機会に述べたいと思います。

今回のやかんの水あか中毒事故は、かなり稀なケースかもしれません。しかし、少しでも科学(化学)的な発想を持ち合わせれば、防ぐことができた可能性はあったように感じます。これだけ身の回りに化学物質を含む製品が存在していることを考えると、身の回りの生活と科学(化学)の距離を縮めなければならないと痛感します。

和田 眞