人生100年時代の今、「一生健康で暮らしたい」「寝たきりにはなりたくない」と考えている人が大半ではないでしょうか。そのため、世界保健機関(WHO)が提唱した新しい指標「健康寿命」が注目されています。

75歳以上の3人に1人は介護が必要に

健康寿命とは、「平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間」を意味しています。厚生労働省の「令和2年版高齢社会白書」によると、2016年の健康寿命は男性72.14歳・女性74.79歳で、同年の平均寿命との差は男性8.84年・女性12.35年。この間が、介護が必要になり得る期間ということになります。

また前述の白書によると、介護保険制度における65歳以上の要介護者等(要介護または要支援の認定を受けた人)は年々増加しており、2017年度末で約628万人。75歳以上になると第1号被保険者に占める要介護の割合が23.3%、要支援が8.6%で、合わせると約3人に1人が要介護認定を受けているという状況です。

こうした状況では、実親や義理の親、配偶者そして自分自身も将来介護される可能性は十分あります。介護が必要になった際に慌てずに済むように、筆者の知人であるAさんのケースを交え、介護の実態について見ていきましょう。

2人暮らしの高齢者夫婦の老老介護

Aさんは70歳。80歳のご主人と地方都市での2人暮らしです。2人いるお子さんは、結婚してそれぞれ親元から離れたところに住んでいます。

80歳になるご主人は15年ほど前に病気で倒れ、70歳くらいから認知症を発症。今は、要介護2の認定を受けて、週に1回デイサービスに行っています。Aさんにとって、ご主人がデイサービスに行っている時間が、束の間の息抜きできる時間だといいます。