再配達率の削減効果は見られるが今後の課題も
国土交通省は2017年から毎年4月と10月に「宅配便再配達実態調査」を実施していますが、今年4月の再配達率は前年同月比7.5ポイント減の約 8.5%と、調査開始以来最も低くなりました。コロナの影響で在宅時間が増えたことに加え、置き配サービスが貢献していると考えられます。
ただ、さらに置き配を拡大させていくためには、いくつか重要な課題もあります。生鮮食品や医薬品、高額商品などにはまだ制限があり、たとえばアマゾンでは生鮮は対象外で、楽天は医薬品や税込1万円以上の商品には対応していません。これらをクリアしていくためには、いっそう知恵を絞る必要がありそうです。
またオートロック付きマンションでは、各戸の指定場所まで届けることはなかなか困難といえます。現在、エントランス解錠システムが開発され実証実験も始まっていますが、技術的にはクリアできても居住者への説明会やマンション管理組合の総会での決議が不可欠となるでしょう。
まとめ
各社で手法が異なると利用者も混乱するため、盗難対応や解錠システムなどのルールは今後業界で一本化する必要があるかもしれません。楽天や日本郵便は「OKIPPA」をモニターに無料配布しましたが、置き配へのハードルを下げるこういった施策も積極的に進めてほしいと思います。
一方で消費者も、直接受け取った方がよい商品と置き配で構わない商品の境界線を自ら引くことにより、便利で安全に利用できるのではないでしょうか。
【参考資料】
「置き配の現状と実施に向けたポイント」(経済産業省・国土交通省)
「宅配便の再配達率は8.5%と大幅に低下」(国土交通省)
通販研究所・渡辺 友絵