「母乳で育てたい」というBの意向のもと完全母乳で頑張っていたBでしたが、1カ月検診で助産師さんから赤ちゃんの体重がなかなか増えていないと言われました。ミルクとの混合に切り替えるよう指摘され、少し落ち込んでしまったB。そんなBに対して旦那さんは「君の母乳の栄養が少ないってことなんだから、ミルクを飲ませればいいじゃん」と言ってしまいます。
この発言にBは激怒。これまでの上から目線の指導は「頑張ってくれているんだ」となんとか我慢してきたものの、まるで自分自身を否定されたような言葉を聞いて「じゃあ、もうあなたがすべてやってよ!」と怒りながら号泣してしまったそうです。
取得するまでの道のりや育休中の夫婦間コミュニケーションも男性育休の課題
妊娠、出産という大仕事を終えた後の妻は、心も体もボロボロの状態。夫が育休を取得して家事育児をサポートしてくれることで妻の心と体が回復し、夫婦2人で負担を折半しながら育児生活を送るのはとても理想的なことです。しかし男性育休の現実には、取得までの険しい道のりや育休中の夫婦間でのコミュニケーションなど多くの課題があります。
A夫婦とB夫婦の例からは、旦那さんがサポート役に回り過ぎてしまったり、妻の心身の負担を軽んじてしまったりして歯車がうまくかみ合わない様子がわかりました。日本にはまだまだ前例が少ないからこそ、今まさに夫婦同時育休を取って頑張っている人たちの失敗談は次世代にとってもとても貴重なもの。これから育休を取得したいと思っている男性には、こうした先駆者たちの経験を参考にしてもらいたいと思います。
【参考資料】「令和元年度雇用均等基本調査」(厚生労働省)
富士 みやこ