児童手当、高校無償化も対象外…

大手企業に勤める夫をもつ専業主婦のAさん(44歳)は、都内に暮らす3人家族。マイホームと車も所有し、余裕のある生活を送っているように見えます。

「家計はきびしく、実は貯金がほぼゼロ…。税金は高いのに児童手当も対象外ですし、余裕なんてないですね。夫の給与は減らないという安心感があったので、ちょっと気を抜いているところもありました。進学に向けてきちんとお金をためなければいけないのに」

中学生以下の子どもがいる世帯が受け取れる児童手当。これは年収960万円で対象外となり、受給額の少ない特例給付に変わります。

しかし、子どもの成長につれ教育費も上がる一方です。Aさんは子どもを私立に通わせており、塾や習い事もさせているそう。2020年4月から「私立高校の実質無償化」が始まりましたが、対象となる世帯年収の目安は910万円だといわれています。条件にもよりますが、Aさんのような年収1,000万円で共働きではない世帯では対象外となってしまうケースが多いのです。

また、先述の国税庁調査によれば、年収800万円以下の納税者は約3792万2千人、年収800万円以上は485万6千人と開きがありますが、全体の納税額で比べてみると、800万円以下が34.4%、800万円以上が65.6%と、半分以上の納税を年収800万円以上の世帯が担っていることが分かります。

なかでも、年収2,500万円以上の世帯をのぞくと、最も多いのは年収1,000万円~1,500万円の世帯。令和2年からは未婚など一部の世帯で年収850 万円以上は所得税が増税されたこともあり、税金によるシワ寄せを感じやすい世帯なのかもしれません。