このAさん夫婦のケースに対して、男性と女性とでは感じ方が違う場合もあるかもしれませんが、筆者としては家計を預かるAさんの思いは至極当然なもの、という気がします。

Aさん自身も子どもの休校に対応しながら自宅で仕事をし、なんとか家計を支えようとしていました。家族の生活を守るためには、夫の“気持ち”を変化させるしか方法がないのではと感じました。

夫の性格に合わせて、話し合える環境づくり

Aさんの夫は、楽天的な一方でとても頑固。自分が「こう!」と思ったことに対して口出しをされると、すぐに不機嫌になってしまう…という、なかなか厄介な性格だったようです。

最初、Aさんは事実を並べてこんこんと理詰めで話をしようとしたのですが、それは逆効果だったそう。この方法をとると夫はすぐ不機嫌になり、聞く耳を持ってくれません。かといって感情的な言い合いになってしまうと、お互い耳にも心にもフタをしてしまうので、ケンカになるのは避けなければいけない──。

いろいろ考えた末にAさんは、夫の性格や気分の浮き沈みが出る傾向をよく観察し、今の大変な状況や、このままの考えでは取り返しのつかないことになるということを“小出し”にして説明することにしました。夫の機嫌がいいときやAさんの話に耳を傾けてくれそうなときなど、会話の中でのタイミングもしっかり見計らうようにしたのです。

すると、働き方や収入の話になるとすぐ不機嫌になっていた夫も、ちょこちょこAさんの話を聞いてくれるように…。

もしかすると、働き方や収入を「速やかに解決すべき問題」として正面切って持ち出されることで、夫はAさんに責め立てられているような気がしていたのかもしれません。会話の中で小出しにすることで、「ふたりの課題」として共有する気持ちの余裕ができてきたのでしょう。