急成長したカーシェア、コロナ禍で一転して斜陽産業に?

在宅リモートワークの普及で都心部→地方都市への人口移転が進む

最大の理由は、在宅リモートワークの普及・定着です。これにより、“仕事(働き口)があるから都心部に住む”という、冒頭に記した都心部への人口流入トレンドが根本的に変わってくるでしょう。さらに、このトレンドの巻き戻しが起き、都心部から地方都市への人口流出が増えるケースも十分に考えられます。

地域にもよりますが、地方都市ではクルマは生活必需品であり、所有する意義は格段に大きくなります。また、クルマの維持費も圧倒的に安く、仮に、地方都市の不動産価格が上昇したとしても、クルマの維持費(主に駐車場)の上昇分は限定的なはずです。

少し極論になりますが、物価の安い地方ではカーシェアリングなんか必要ありません。

ウイルス感染予防でカーシェアリングを敬遠する可能性

また、感染予防という観点でも、カーシェアリングを敬遠する人が増加する可能性があります。確かに、誰が使用したか分からないクルマを使うのには抵抗感がありますし、使用の度にカーシェアリング管理会社が全てのクルマに消毒・殺菌作業を実施するのは不可能に近いものがあります。

さらに、「Go To トラベル」施策は導入されたものの、外国人旅行者も含めた観光需要は壊滅的で、当面は大きく回復する見込みはありません。加えて出張の減少も当分続くでしょう。こうしたことを勘案すると、コロナ禍はカーシェアリングに強い逆風になると考えていいのではないでしょうか。

一方で、収入の減少が続くために高級消費耐久財への出費が抑制されることや、そもそも外出する時間が減ることを踏まえれば、クルマの所有意欲が戻ってカーシェアリングの利用が激減するとは考え難いものがあります。

こうした消費者の需要の変化に対し、カーシェアリング事業者のみならず、自動車メーカーや地方自治体がどう対応していくのか注目したいと思います。

葛西 裕一

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国立大学卒業後、国内・外資系の金融機関にて23年勤務後に独立。証券アナリストなどの職務を経験し、ファイナンシャルプランナー関連等の金融系資格を多数保有。専門は株式投資、貴金属投資、年金、相続、不動産。