これは、米中それぞれがいつどの瞬間で経済依存を放棄するかによるが、香港国家安全維持法にアフリカや中東を中心に世界52カ国が支持に回ったように(注)、中国が独自の経済圏を維持・拡大できる空間は以前より広がっている。

(注)これには反政府活動を抱える国々、一帯一路によって多額の資金提供を受けている国々も多く含まれており、また各国特有の事情も影響していると見られ、一概に52カ国が“親中、反米”というわけではない。

経済二極化で難しい舵取りを迫られる日韓

現在、オーストラリアや英国はこれまで以上に中国への警戒心を高めており、現在の米中対立は経済領域での二極化、中国圏 vs. 自由民主主義圏へと発展する可能性もある。

仮に、そういう世界が訪れるならば、中国と同じ東アジアにある日本と韓国はこれまで以上に難しい舵取りを余儀なくされる。

上記の国家安全維持法において、日本は不支持に回ったが、韓国はそのどちらにも回らなかった。その背景には、安全保障上は米国の同盟国であっても、中国との深い経済関係から不支持にまで踏み切れなかった可能性が想像できる。

日本としても、国家安全維持法や尖閣諸島での問題で中国を非難できたとしても、経済関係を考えると必要以上の外交関係悪化は避けたいのが本音だろう。

政治を取るか経済を取るか、米国を取るか中国を取るか、もっと言えば、どこでバランスラインを引くか、これは日本にも韓国にも共通した課題だ。

そして、今後さらに米中関係が悪化し、それがニューノーマル(新常態)となれば、東アジアの日韓にとってはより重い課題となる。

和田 大樹