それに対し、どの大学も学生寮を使って、厳しい隔離を行うことが可能だと主張します。24時間体制で毎日、隔離中の留学生がきちんとルールを守って隔離しているか確認できると言います。

首都ウェリントンにあるビクトリア大学は、市内のほかの教育施設と共同で留学生を連れてくるためのチャーター機を飛ばすことまで画策しています。

留学生には安全かつ簡便にウェリントンまで来てもらい、そのまま2週間の隔離を経て、正式にキャンパスで学生生活を始めてほしいという考えです。大学にとって、留学生がもたらす授業料はのどから手が出るほど入ってきてほしい収入であることが見てとれます。

ニュージーランドで勉強したい留学生たち

こうした大学のラブコールに応えたわけでもないでしょうが、ニュージーランドへの留学を考える海外在住の学生はこのところいつも以上に増えています。新型コロナウイルスがうまく抑制されていない国の学生からは特に熱い視線が送られていると言います。

オークランド・ユニバーシティ・オブ・テクノロジーでは、入学を目的とした問い合わせが、世界中でパンデミックになってから倍に増えたそうです。ほかの大学でも同様の傾向が見られるようですが、本当にコロナがこの風潮に影響しているかどうかはわからないといいます。

エデュケーション・ニュージーランド(ENZ)は毎年全国約1000人の大人に対し、国際教育についての意識調査、「ニュージーランド人の国際教育に対する考え方」を行い、報告書としてまとめています。ENZは、ニュージーランドの教育の良さを世界に広める活動を行う、政府公認機関です。

2019年版の調査報告書には、国際教育が国にプラスになっていると考える人は58%、地域レベルでもプラスになっていると考える人は51%に上ることが記されています。

お金なしには、良い施設を用意し、優秀な教師陣を揃えられないことはわかります。それでもやはり、この国にはない文化や習慣を持つ留学生との交流には、お金では買えない価値があるのではないでしょうか。

クローディアー 真理