”コロナを封じ込めた国” ニュージーランド
相次いで今度は高校をはじめとする学校が閉鎖になりました。3月26日から5月18日までと、2カ月に少し欠ける長さの間、滞在している留学生も自宅待機となりました。短期留学生はまったくこれでは勉強にならず、早々に帰国する一方で、長期留学生の多くは帰国せず、ホストファミリー宅に留まりました。
母国に帰るチャンスがなかったわけではありません。日本人長期留学生に話を聞くと、親御さんたちは、「心配だから早く戻りなさい」ではなく、「ニュージーランドの方がきっと安全だから」と口をそろえ、帰国に待ったをかけたそうです。
新型コロナウイルスに感染する可能性は、ニュージーランドの方が少なくて済むと判断したのでしょう。ニュージーランドの留学先としての従来の魅力に、今回は「コロナを抑制した国」という強みも加わったようです。
留学生がいなければ、文化交流も止まる
短期と長期のちょうど間ぐらいの期間、半年の予定でやって来た留学生も、7月初めに母国に戻っていきました。留学生が在籍したことで、他文化を許容する姿勢や、人種を超えた友人関係についてを、在校生もずいぶん学びました。
留学生の数がもうわずかになった今、留学生クラスのある校舎は静まりかえっています。国境封鎖もすでに4カ月近く続いており、今度いつ留学生がやって来るのだろうかと在校生は漠然とした寂しさを抱えているようです。
国境封鎖が継続する限り、人の行き来はなくなります。海外の文化と生で接し、交流を行うのは不可能です。インターネットを通したり、VRを経験したりすれば、疑似体験はできるでしょう。でも、実際の経験にはかないません。
国境封鎖で失うのは文化交流に留まりません。留学生を受け入れてきた学校や国は財源を失うことにもなるのです。