当時は、あれほどA氏との取引がなくなることを恐れていたものの、しばらくして振り返ってみるとたいした取引ではなく、むしろどうしてあんなに固執していたのか不思議です。

おわりに

セクハラ行為に遭った後、自分自身の言動、服装、ふるまいなど、自分自身に非があったのではないかと自分を責める日々が続きました。

周囲からすれば「ただ抱きつかれただけ」の行為ですが、「セクハラ対象とならない容姿にならなければ」という考えにとりつかれ、病的に暴飲暴食するようになってしまったのです。

今は落ち着きましたが、ちょっとしたセクハラでも被害者からすれば人間不信にもなりますし、トラウマになるものです。

自分自身が雇われている立場や部下の立場、取引をしてもらう側などの弱い立場のときにセクハラを受けると、どうしても声を上げづらいというのが実情です。けれど、自分の精神をすり減らしながら理不尽なセクハラを我慢していると、心身ともに大きなダメージを受け続けていくことになります。

安定した給料、今後の生活…。目先のことを考えると、理不尽なことにも「嫌だ」と言えないことも多い世の中ですが、後から考えてみれば自分を傷つけてまで我慢するほどのことではなかった、ということもあるでしょう。

もし今、セクハラで悩んでいる方がいたら、現在の生活や立場を守ることを最優先にしつつ、上層部にかけあったり弁護士に相談したり、さまざまな方法を模索してみてほしいと思います。

松原 朱里