50代の資産形成 人生のリスクに備える方法とは

老後に向けてしっかりと貯蓄できるのでしょうか。日本の平均寿命(男性約81歳、女性約87歳)は伸びていますが、収入を得られる「現役」の時間は限られています。とくに「健康寿命」は、男性で約72歳、女性で約75歳といわれています。

日常生活に何らかの制限が加わると、収入は減少し、改築や介護費用など特別な支出が必要となることもあるでしょう。長い人生に備えるには、健康面も含めた準備や計画が重要だといえます。

[1]50代の今からできる老後資産の計画

金融庁の「老後2,000万円問題」によると、高齢の夫婦無職世帯の平均的な毎月の赤字額は約5万円と試算されました。老後の人生が20年間と仮定すると、必要となる金額は約1,300万円、30年間では約2,000万円にのぼります。

公的年金と現在の貯蓄を勘案するために、まずは年金額の確認をしてみましょう。日本年金機構の「ねんきんネット」であれば、これまでの加入記録や年金の見込額を詳細に確認できます。

そのうえで老後のプランを立ててみましょう。また、退職金を大切に活かすためにも、住宅ローンや教育ローンなどは、できるだけ退職前に完済に近づけておきましょう。

[2]非課税制度の活用で資産形成

老後の生活に備えて投資を検討することもあるでしょう。ただし、大切な資産を、リスクを受け入れながら積極的に投資していくのは重すぎる面もあります。50代からの資産運用には限りがあることを念頭に置かなくてはなりません。

そこで例えば非課税制度を利用できる「iDeCo」「つみたてNISA」があります。資産形成のために国が整備した制度で、どちらも非課税枠が利用可能です。iDeCoは原則60歳まで利用できて、積立資金は全額所得控除となり、運用益も非課税。60歳まで引き出すことができないという良い制限があります。また、「つみたてNISA」であれば退職後も運用の継続が可能です。

[3]再就職と老後の収支

資産運用と同時に考えていきたいのが定年後の収入面です。65歳で定年退職した場合、平均寿命まで15年以上あります。継続就労できれば、資産の寿命も延ばすことが可能となります。2016年のデータですが、65歳から69歳の男性の55%、女性の34%が就労しています(※3)

就労は健康維持にもつながりますし、収入面を確保できることで、老後の生活をより豊かに計画できるようになるでしょう。

【参照】
(※3)『金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」』金融庁(P.3、4、10、11)

まとめにかえて

個人により退職金も年金額もそれぞれです。定年前に年金額の確認や家計の見直しなど、現状を把握しておきましょう。そのうえで老後のライフプラン、マネープランを検討し、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談するなど、できるだけ具体的な準備を進めていくことをおすすめしたいと思います。

【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

【ご参考】年間収入とは

総務省統計局の「家計調査」における「年間収入」とは、世帯全体の過去1年間の収入(税込み収入)です。以下1~6の収入の合計金額となっています。
1. 勤め先収入(定期収入、賞与等)
2. 営業年間利益(原材料費、人件費、営業上の諸経費等を除く。)
3. 内職年間収入(材料費等を除く。)
4. 公的年金・恩給、農林漁業収入(農機具等の材料費、営業上の諸経費等を除く。)
5. その他の年間収入(預貯金利子、仕送り金、家賃収入等)
6. 現物消費の見積り額

LIMO編集部