ネガティブな気持ちは「産後うつ」のサインであることも

もし、妊娠や出産前まで良好な関係を築いていた身近な人の言葉や行動が、出産後にポジティブに受け取れなくなったというときは、注意信号かもしれません。

厚生労働省が運営する「e-ヘルスネット」によると、女性は男性の2倍「うつ病」にかかりやすく、女性の場合12人に1人が一生のうち一度はうつ病に陥ること、妊娠中や出産後はうつ病が起こりやすい時期であるとされています。また、約10人に1人が「産後うつ」を経験するとも報じられています(日本経済新聞「産後うつ予防へ健診費助成 厚労省、不調を早めにケア」)

このような情報を総合すると、やはり産後はささいなことにも敏感になり、精神状態が不安定になりやすい時期だと言えるでしょう。

もし、出産後にネガティブに感じることが増えたと感じているのなら、「エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)」という自己記入式の質問に答えてみることをおすすめします。これは、英国王立精神科医学会が著作権を持つもので、病院や市区町村によってはすでに導入され、妊娠中や産後の検診などに組み込まれている場合もあるようです。

興味のある方は一度、出産した病院やお住まいの自治体に質問票の入手先について尋ねてみてください。

おわりに

妊娠は、自分のなかに「もうひとつの命が宿る」というとても神秘的な現象であり、出産は「自分の中からもうひとつの命が誕生する」素晴らしい瞬間です。一方で妊娠や出産は、母体にさまざまな影響を与えるとも言われています。

出産後、「気持ちが落ち込む」「周囲の言葉がイヤミに聞こえる」「明るい気持ちになれない」と悩んでいる人は、無理をせず心療内科や出産した産婦人科などに相談してみてください。

山内 良子