次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウムの正体とは
化学式は難しく取っつきにくいと思われるでしょうが、目で見た形として捉えてください。なるべく化学式を使わないで、言葉で化学を伝えたいと思います。
次亜塩素酸の化学式はHClO 、次亜塩素酸ナトリウムはNaClO です。これに似たものに次亜塩素酸カルシウムCa(ClO)2があります。3つともClOを有しています。
次亜塩素酸ナトリウムは、「まぜるな危険」の赤文字で有名なカビキラーやキッチンハイタ―などの主成分で、強アルカリになっています。次亜塩素酸カルシウムは古くから井戸水やプールの消毒に使われてきたもので、一般名はさらし粉です。次亜塩素酸ナトリウムも次亜塩素酸カルシウムも水道水の殺菌に用いられています。
次亜塩素酸は不安定で分解しやすい物質です。また、次亜塩素酸水は次亜塩素酸の水溶液のことです。水道水の殺菌には、塩素ガスも用いられます。塩素ガスが水と反応すると、次亜塩素酸(水道水のカルキ臭)が微量生成(平衡定数が小さいため)しますので、水道水は低濃度の次亜塩素酸水になっていると言ってもいいでしょう。
次亜塩素酸も次亜塩素酸ナトリウムにも殺菌作用があり、水道水の殺菌はこのようにして行われ、きれいな水として飲むことができるのです。次亜塩素酸と次亜塩素酸ナトリウムは明らかに異なる化学物質ですが、名前が次亜塩素酸まで同じこともあって、混同して使われていることもあり注意が必要です。
次に、次亜塩素酸ナトリウム消毒液について簡単に説明します。
カビキラーやキッチンハイタ―を使って、次亜塩素酸ナトリウムを希釈して、消毒液として使用する方法が厚生労働省と経済産業省から推奨されています。希釈方法などが記載されたチラシがすでに地域の自治会経由で各家庭に配布され、また、各自治体のホームページにも記載があります。
しかし、この作り方や使い方には注意が必要です。
- 絶対に手指の消毒には使わないこと。手すり、ドアノブ、机などに限る。
- スプレー容器で噴霧しないこと。吸い込むと気管支などに炎症を起こす恐れがある。
- 使用するときには換気に気をつけること。
- 消毒液を作る際には台所用手袋を着用すること。
- 効力が長持ちしないので使うときに必要な量だけ作ること。
- 金属製品を拭くと変色や腐食の恐れがあること。
- 次亜塩素酸ナトリウムの量を間違えないこと。