次亜塩素酸水はどのように作るのか〜「混ぜるな危険」の理由

次亜塩素酸水の作り方には、大きく分けて2種類あります。電気分解法と混合法です。

まず、電気分解法は塩酸や食塩水を電気分解するもので、生成装置が市販されています。電気分解する条件により3種類、すなわち強酸性次亜塩素酸水、弱酸性次亜塩素酸水、微酸性次亜塩素酸水が得られ、それぞれpHや有効塩素濃度(ppm)が異なります。

混合法では、次亜塩素酸ナトリウムに塩酸や炭酸を作用させる中和法を用います。ネット上にはその作り方まで掲載されていますが、危険が伴いますから絶対にやってはいけません。

次亜塩素酸は、強アルカリ、弱酸性、強酸性で形を変えます。すなわち強アルカリ条件下では次亜塩素酸ナトリウムに、弱酸性条件下では次亜塩素酸になり、強酸性条件下では塩素ガスが発生します。したがって溶液のpHを誤ると極めて危険なのです。

次亜塩素酸ナトリウムは強アルカリ性なので、手につけると皮膚を侵し、目に入れば失明の危険もあります。かつて塩素系カビ取り剤を使ってトイレやふろ場を清掃中に死亡事故が起きたこともあります。理由は、上述の強酸性条件下にあたるもので、酸性洗剤を同時に使用したことによる塩素ガス中毒だったのです。

化学反応を理解すれば当たり前なのですが、一般的には知られていないことです。そのため、この事故後に「まぜるな危険」の赤文字が表示されるようになりました。次亜塩素酸水がこれだけ話題になっている今、こうした悲惨な事故が起きないことを祈ります。

次亜塩素酸水バトルの問題点

電気分解法により得られる新鮮な次亜塩素酸水は、食品の流水洗浄・殺菌に効果的であることは知られています。また、ウイルス・細菌の殺菌効果の研究は、電気分解法か混合法か、またpH値や有効塩素濃度の違いはあるにせよ、いくつかの研究機関で実施済みです。これが、販売会社が殺菌効果を主張する根拠になっています。

しかし、この研究における酸性条件下、有効塩素濃度で、しかも大量の次亜塩素酸水を使って仮にウイルスや細菌が死滅したからといって、即、人体における消毒に使えるというのは必ずしもイコールではないように思います。高濃度の次亜塩素酸の人体への影響をきちんと調べるべきでしょう。