夫婦世帯で考えておくこと
生涯独身で過ごすおひとり様と比較して、夫婦世帯なら安心だといえるのでしょうか。子育てを経験してきた家庭では一般的に持ち家などの住居費がかかり、大学進学のために教育ローンや奨学金などの返済が続いている場合もあるでしょう。決して余裕があるとは言い切れないのかもしれません。
また、共働き夫婦の場合は世帯収入も多い傾向にあり、退職金も期待できますが、家計支出も多くなる傾向にあるといわれています。今後、住宅ローンや教育ローンの返済のために退職金が大きく目減りしてしまう可能性はないでしょうか。
社会人になった子どもの生活を支える必要のある高齢世帯もありますし、孫たちが誕生して人生に嬉しさが加わると同時に、「孫育て」や「孫支出」などの負担が増える可能性もあります。そして、夫婦世帯であっても死別という可能性もあります。やはり老後に備えて、生活費を抑えたり貯蓄を継続するなど、老後資金の対策もできるだけ早い時期から取りかかっていくことが大切だといえるでしょう。
さいごに
数十年続く老後生活に備えるには、男女を問わず、早くからの老後準備が大切です。とくにおひとりさまの場合は、健康管理・家計管理などの自己管理が重要になります。早くから老後に向けた貯蓄を計画していきましょう。
また、長期にわたる資産形成を支援する制度として、税制面で一定の優遇が行われている「つみたてNISA」や「iDeCo」もあります。NISAはライフイベントに応じて引出すことが可能な積立て方式であり、iDeCoは年金制度として所得控除が認められ、両方の併用も可能です。情報収集をしながら貯蓄を継続するなど、老後に向けて計画的に準備していきましょう。継続的な貯蓄や家計の管理はその人の生活力そのものとなります。賢く備えていくことが自信を持って老後を迎えるコツになりそうです。
参考
「高齢社会における資産形成・管理」金融審議会市場ワーキング・グループ報告書
「厚生年金保険・国民年金事業年報」厚生労働省
「家計調査報告(家計収支編)2019年(令和元年)平均結果の概要」総務省
【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。
LIMO編集部