なんだかどこかに実在しそうな人物像が浮かび上がってきます。コロナ禍が広がる前には評価され、あるいは黙認されていた資質であっても、今のような事態においては、従来通りに物事を進めることはできないでしょう。

こうしたリーダーが取りがちな「敵を作って攻撃する」「強引に決断する」ことが一定の支持層には響いても、長期的な視点で見ると、国民同士の分断を広げる結果をもたらしかねません。

「権謀術数」の世界では「女性的資質」が不要とされる

もう一度、日本に目を向けてみると、政治の世界においては、国民が首脳陣に本当に求める資質は、権謀術数の世界の中で打ち消されていないでしょうか。

圧倒的に数の少ない女性議員は、男性と同じ土俵で同じ闘い方を選んでいる議員が重用され、「議論する」「共感する」「真実を自分の言葉で語る」よりも「言い負かす」「論破する」「忖度し、追随する」資質が評価されているようにも見えます。

そして皮肉にも、政治のルールに乗っ取って「多数決で無理やり打ち勝って進める」ことが、かえって政治不信を深めているようでもあります。

先にご紹介した「表現力豊か」「しなやか」「共感力がある」「情熱的」「利他的」という資質については、現在、都道府県知事など自治体の長の目覚ましい活躍を通じて、多くの国民が今まさにその必要性を目の当りにしているところではないでしょうか。

国政の世界においてもこうした資質が評価されるようになったとき、国民による政治への無関心や不信にも変化が生じるのかもしれません。

【参考】
世界15ヵ国を対象としたマッキャン・ワールドグループ・グローバルアンケート第3回調査」(マッキャン・ワールドグループ)
 『女神的リーダーシップ~世界を変えるのは、女性と「女性のように考える」男性である』(ジョン・ガーズマ/マイケル・ダントニオ著、2013年、プレジデント社)

北川 和子