アメリカの社会理論家ジョン・ガーズマ氏とジャーナリストのマイケル・ダントニオ氏の共著『女神的リーダーシップ~世界を変えるのは、女性と「女性のように考える」男性である』によれば、政治、企業、地域において求められているリーダー像に変化が起こっているというのです。

本著では、13か国の6万4000人を対象に調査を企画。調査対象の半数にあたる3万2000人に対して125の資質を提示し、それぞれを「男性的」「女性的」「どちらでもない」に分類してもらったうえで、残りの半数にリーダーシップ、成功、幸せといった美徳にどのような資質がどれだけ大切か評価してもらうという方法で行われました。

リーダーシップの項目においては「表現力」「柔軟」「忍耐強い」「共感力」「忠実」「情熱的」「利他的」といった資質が高く評価されていました。ちなみに、これらの資質はいずれも「女性的」という回答が多く集まった資質です。

この結果に対して、同著の中では以下のような分析がなされていました(以下、引用)。

<わたしたちのデータによれば、リーダーに求められる資質の多くは、「女性的」とみなされている。特筆すべきは、思いや感情を包み隠さずに率直に表現するリーダーが望まれていることだ。(中略)リーダーには、直観を大切にし、他人の気持ちを理解し、行動を起こす前に問題点―あるいは行動の結果―をいくつもの角度から吟味する力を高めることが望まれている。>(引用終わり)

この調査はリーダーは男性がいいか女性がいいかの単純な話ではなく、リーダーに求められる「資質」に関するもの。とはいえ、先にあげた女性首脳たちがコロナ禍で行った演説は、共感力、思慮深さ、利他的といった面が光ります。

続いて、同調査で評価された資質と真逆のものを持ったリーダー像をあげてみましょう。

野心家で、プライドが高く、独断的で、権威的で、言いたいことを歯に衣着せずに物を言うリーダー……。