寿命が延びる中、「定年」というライフイベントは人生において、厄介なものになりつつあるというのが実態ではないだろうか。寿命が80や90歳まである人が増える中で、「60や65歳で定職がなくなるなんて」とお考えの方も多いかと思う。
今回は、そうした定年後のお金の使い方について考えてみたいと思う。退職金がある人はどの程度もらっているのか。また、そうしてできた老後資産をみんなどのように運用しているのかについて厚生労働省や総務省の最新データを見ながら、考えていきたい。
退職金をみんないくらもらっているのか
厚生労働省の「平成30年就労条件総合調査 結果の概況」によれば、退職金の金額は以下の通りだ。
ここでは、大学・大学院卒(管理・事務・技術職)、高校卒(管理・事務・技術職)、高校卒(現業職)の3つに分けてみていきたい。
勤続年数により、退職金の金額は異なるが、ここでは、勤続35年以上をベースに見ていくことにする。
退職一時金制度のみ
大学・大学院卒(管理・事務・技術職):1897万円
高校卒(管理・事務・技術職):1497万円
高校卒(現業職):1080万円
退職年金制度のみ
大学・大学院卒(管理・事務・技術職):1947万円
高校卒(管理・事務・技術職):1901万円
高校卒(現業職):1542万円
両制度併用
大学・大学院卒(管理・事務・技術職):2493万円
高校卒(管理・事務・技術職):2474万円
高校卒(現業職):1962万円
ここでの退職金の定義は、退職一時金制度のみは、退職一時金額、退職年金制度のみの場合は年金現価額、退職一時金制度と退職年金制度併用の場合は退職一時金額と年金現在価額の合計となっている。
2019年に金融庁のワーキング・グループが、金融審議会市場ワーキング・グループ報告書として「高齢社会における資産形成・管理」で発表し話題となった「老後2000万円問題」であるが、学歴次第ではあるが、2000万円近い退職金を手にすることができている。
では、この老後資金をみんなどのように運用をしているのだろうか。
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60代の資産運用の中身とは
では、60代はどのように資産運用しているのだろうか。
2020年5月15日に公開された総務省の「家計調査報告(貯蓄・負債編)―2019年(二人以上の世帯)―」を見ていこう。
各金融商品の保有額を見ていこう。
- 預貯金(定期預金含む):1464万円
- 生命保険など:495万円
- 株式・株式投資信託:263万円
- 貸付信託・金銭信託:18万円
- 債券・公社債投資信託:64万円
60代の貯蓄全体が2330万円であるのに対して、そのうち6割程度は預貯金となっている。
次いで大きいのが生命保険などの保険。それに次いで大きいのが、株式・株式の投資信託となっている。
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70代以上の資産運用の中身とは
では、同様に70代以上の資産の中身を見ていこう。
- 預貯金(定期預金含む):1542万円
- 生命保険など:352万円
- 株式・株式投資信託:259万円
- 貸付信託・金銭信託:19万円
- 債券・公社債投資信託:68万円
70代以上の貯蓄は2253万円となっており、7割弱が現預金となっている。
次いで大きいのが、生命保険など。
それに次ぐのが、株式と株式の投信となっており、資産構成の傾向は60代とは大きな変わりはない。
まとめにかえて
退職金を2000万円近く手にする人がいる一方で、定年後の60代や70代以上のうち、預貯金で運用する比率は高い。
米国のトリニティ・スタディとよばれるトリニティ・ユニバーシティの研究によれば、老後(引退後)も株式比率を高間ながら資産運用していけば、その資産構成次第で自分が死ぬまでしっかりと資産が残っているという研究もある。「4%ルール」と呼ばれるものだ。
日本でもしっかりと資産運用をしながら取り崩すという発想と手段があれば、高齢者が預貯金をため込んで、お金が循環しないという環境から脱する機会もあろうかと思うが、いかがだろうか。
参考資料
- 厚生労働省「平成30年就労条件総合調査 結果の概況」
- 金融庁・金融審議会市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」
- 総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)―2019年(二人以上の世帯)―」
- Philip L. Cooley, Ph.D.; Carl M. Hubbard, Ph.D.; and Daniel T. Walz, Ph.D.” Portfolio Success Rates: Where to Draw the Line” Financial Planning Association
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マネー編集部