最近になり、イラクでイスラム国によるテロが増加している。

今年に入っての発生件数は、1月に79件、2月に82件、3月に61件だったが、4月は110件と大幅に増加した。110件のうち、親イランのシーア派武装勢力によるテロが2件で 残りの108件がイスラム国によるテロだったという。

特に、首都バグダッドに近いディヤラ県、北部のキルクーク県とニナワ県での発生件数が増えており、108件のテロで81人が死亡、162人が負傷したと伝えられている。

懸念されるイスラム国の再生

新型コロナウイルスの感染はイラクでも確認され、バグダッドなどでも外出禁止令が発令され、軍や警察の多くはそちらの対応に追われている。直接的な因果関係は分からないが、それによって生じた空白を突く形で、イスラム国が活動を活発化させているという。

そのイスラム国の再生を懸念する声はあちらこちらで聞こえる。

2019年9月、米ジョージタウン大学の専門家は、「アルカイダやイスラム国の指導部は弱体化し、米国内でテロを計画・実行することは困難であるが、両組織が主導する過激主義思想は依然として残り、それを支持する組織や信奉者たちは9.11時より増加し、各地で活動している」と警告した。

また、米国防総省も、「イスラム国の領域支配の崩壊は宣言されたが、その後も一部の戦闘員は逃亡し、米軍がシリアから撤退する機会をうかがいながら組織の再生を図ろうとしている」と指摘した。現在の情勢は、正に国防総省の指摘をそのまま映し出しているのかもしれない。