本記事の3つのポイント
- 自動車業界もこれまでのエンジン主体の自動車から、「電動化」「自動化」「コネクテッド」「シェアリング」などへと急速に時流は変化し、「100年に一度の大変革期」を迎えている
- ティア1企業も部品各社とのコラボレーションを積極的に推進している
- 半導体・電子部品各社にとっても、CASE時代の到来は新たな商機の拡大につながっている
世界におけるエコカー需要やIoT、AI、5Gなど革新的な技術革新がすさまじい勢いで進むなか、自動車業界においてもこれまでのエンジン主体の自動車から、「電動化」「自動化」「コネクテッド」「シェアリング」などへと急速に時流は変化し、「100年に一度の大変革期」と自動車メーカー各社が警笛を鳴らす状況を迎えている。こうしたなか、各自動車メーカーが競合として意識すべき対象が、各自動車メーカー同士ではなく、米巨大IT企業「GAFA」などITを主軸としたグループ、ソーラーパネルなども含む新たな発想を加味した電気自動車で自動走行を実現しようとするテスラやLightyearなどの新興勢力などへと急激にシフトしている。
実際に、日本を代表する自動車メーカーであるトヨタ自動車は、「『自動車をつくる会社』から『モビリティーカンパニー』にモデルチェンジする」と2018年に宣言。その後の同社展示ブースに掲げられる展示パネルでは「車・路とつながる、社会・街とつながる、人とつながる」という未来のスマートモビリティー社会を描く。手を組む相手も、19年のソフトバンクとの共同出資会社「MONET」事業の開始、2020年3月にはNTTと業務資本提携に踏み出すなど、発想の主軸が従来の垂直統合によるハードを主軸とした一貫体制から、「ソフトやサービスまで含めた人に役立つ、社会に便利なサービス提供を行うスマートモビリティー社会の実現、その中にある車」へと確実に変化していることがうかがえる。
20年1月のCES2020においても、人々の暮らしを支えるあらゆるモノやサービスがつながる実証都市「コネクティッド・シティ」プロジェクトの一環として、20年末に閉鎖予定のトヨタ自動車東日本㈱東富士工場(静岡県裾野市)の跡地利用による「Woven City(ウーブン・シティー)」でスマートシティー実現に向けた実証を進めていく方向性を示してみせた。
しかし、これらの社会はハードウエアの技術革新なくして成し得ない。トヨタ自動車は、電子デバイス・電子部品を主軸とするモノづくりのR&Dおよび生産の旗振りをティア1に託し、20年4月からトヨタ・デンソー連合の「MIRISE Technologies」が始動した。そして大局から見た印象では、各自動車メーカーのグループ企業各社も親方日の丸で受け身の体制では生き残れないという危機感が高まっている。