リーマンショック時の場合、企業業績が急速に悪化し始めたのが10月以降でしたから、12月支給のボーナスに与えた影響は、金融や不動産など一部業種を除くと、まだ甚大ではありませんでした。それゆえ、冬のボーナスは大幅減少ながらも支給されたケースが大多数だったのです。

しかし、次の賞与、つまり、夏のボーナスは業績悪化が支給対象期間へフルに影響したため、その結果として、ほとんど「ゼロ」に近い人が続出したわけです。

冬のボーナス「ゼロ」も現実味を帯び始めた

その経験を踏まえて今回のコロナショック(実質的には3月後半から本格化)を見ると、夏季賞与よりも冬季賞与が受ける影響の方が、はるかに甚大と考えられます。

“ボーナスがまったく出ないんじゃないだろうか”という心配は、夏季賞与ではなく、冬季賞与で現実になると考えたほうがよさそうです。もちろん、今後のコロナショックの行方次第ですが、緊急事態宣言の延長・長期化の可能性が高まった今、冬のボーナス「ゼロ」が現実味を帯び始めたことは間違いありません。

また、最初からコロナショックの影響を大きく受けたインバウンド関連業種(旅行、ホテル、輸送等)は、いきなり夏季賞与が「ゼロ」もあり得ると予測できます。

こう書くと、皆さんの中に“私の会社の貸借対照表には「賞与引当金」が計上されているから大丈夫だ”と、努めて希望的に考える人がいるかもしれません。しかし、3月末の貸借対照表に計上されている賞与引当金は(注:現時点では2020年3月末の財務諸表は未発表が多い)、その全額が6月に支給される夏季賞与分です。

詳しい説明は省略しますが、賞与引当金は損金不算入のため、3月末に冬季賞与分の引当金を積むことはまずあり得ないと言えましょう。