株式市場

新型コロナウイルスの影響を受けて1月下旬以降大幅下落

インド株式市場は、2020年1月下旬以降、新型コロナウイルスの感染拡大を背景とした世界的な株安を受けて大幅に下落している(4月6日現在)。

当面は新型コロナウイルスの感染状況、各国の政策対応を巡り、世界の株式市場は不安定な展開となり、インド株式市場もその影響を受けることが見込まれる。また、インド国内でも感染が拡大しており、インド政府は3月24日、全土を封鎖すると発表した。外出や移動の制限による国内経済への影響が懸念される。

HSBC投信の株式運用戦略

インド株式市場は短期的には新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、引き続き不安定な展開を続ける可能性がある。また、当面は感染予防対策が国内の経済活動に大きな影響を及ぼすことが見込まれる。

インド経済は当面は厳しい局面を迎えそうだが、当社は長期的にインド株式市場に対する強気の見方を維持している。インド経済の成長ポテンシャルは高く、構造改革の進展から、長期的に成長率はさらに高まると見られている。与党インド人民党(BJP)が安定した政治基盤のもとで高成長・構造改革路線を継続すると見込まれることも、株式市場にとり強力なサポート要因となる。

インド株式の運用では、持続的な収益成長性を有しながらバリュエーションに割安感のある銘柄を選別する。業種別には金融と不動産をオーバーウェイトとし、エネルギー、生活必需品、ヘルスケアをアンダーウェイトとする。また、インフラ関連銘柄は、第2期モディ政権が推進するインフラ投資計画の恩恵を受けると見込まれる。

債券市場

2019年12月下旬以降、上昇(利回りは低下)基調

インド国債市場は、2019年12月下旬以降、上昇(利回りは低下)基調をたどっている(4月6日現在)。

インド準備銀行(中央銀行)は3月27日、緊急会合を開き、政策金利のレポレートを0.75%引き下げ4.4%とすることを決定した。中央銀行は新型コロナウイルス感染拡大の国内経済への影響を抑制することが利下げの目的と説明している。世界的な金融緩和の流れ、インドの中央銀行による利下げはインド債券市場にとって追い風となっている。

HSBC投信の債券運用戦略

インド債券市場は、グローバル投資家にとり良好な投資機会を提供している。新型コロナウイルスによる経済的混乱が収束すれば、インド経済は再び優位性を取り戻すと思われる。インド経済のファンダメンタルズは比較的良好であり、また、インド国債は投資適格級ながら、利回りが依然として高水準にある点も注目される。

インド債券の運用においては、引き続きインドルピー建国債に重点を置いて投資を行う。また、短中期のインドルピー建社債を選好する。一方、米ドル建債券には慎重な姿勢を維持する。

為替市場

インドルピーは2月下旬以降は他の新興国通貨とともに急落

インドルピーは対米ドル、対円ともに本年2月下旬以降は新型コロナウイルスの感染者の世界的な広がりを受けた投資家のリスク回避志向の高まりを受けて、他の新興国通貨とともに急落している。

インドルピー相場は、短期的には引き続き不安定な動きを続ける可能性があるが、長期的には、相対的に良好な経済ファンダメンタルズや潤沢な外貨準備高が支援材料となり、堅調な展開が予想される。