中にはテディベア以外にほかの動物のぬいぐるみや、お人形を飾る人もいて、各々個性的です。お茶会や遊び場でのシーンを再現している凝り性の人もいます。

実はこの「クマ狩り」には、ニュージーランドの首相も参加しています。ジャシンダ・アーダーン首相は、新型コロナウイルスと戦う国の長でありながら、1歳9か月の娘、ニーヴちゃんのお母さんでもあります。

アーダーン首相は新型コロナウイルスに関する会見を毎日開き、国民に最新情報を提供しています。もちろん会見内容はいつも深刻なものです。

しかし4月上旬の会見で「クマ狩り」の話が出ると、破顔一笑。「ウェリントンの私の家でもテディを飾っています。見に来てね」と国民に呼びかけました。どうやら「クマ狩り」は首相のお墨付きも得たようです。

おわりに

最近では、フェイスブックとは関係なく、多くの家々の窓辺にテディべアがちょこんと座って、散歩で通りかかる人を待っています。テディベアを飾る側も散歩をする側も、皆、この「クマ狩り」が、コミュニティの絆になっていると考えています。

世帯ごととはいえ、自己隔離しなくてはならない状況は、人々にとって大きなストレス。そんなときに他人と直接触れ合わなくても人と人の結びつきを強める「クマ狩り」は、ニュージーランドの町のあちらこちらで、みんなの心を癒してくれています。

クローディアー 真理