前期から成長が続いている吉野家

吉野家は前期(2020年2月期)から業績好調が続いています。特に下期は、2020年2月の特殊要因(2018年2月と2019年2月に2年連連続で実施した大型キャンペーンの反動)を除くと、既存店・全店ともに売上高が対前年同月比で110%近い成長を維持していました。

その背景には、超特盛の大ヒットやライザップとのタイアップメニューといった企画の成功があります。それが今期(2021年2月期)最初の月である3月の数字につながっていると言えるでしょう。

コロナ不況下ではステーキより牛丼?

かつて“はやい・うまい・やすい”というキャッチフレーズ※で一斉を風靡した吉野家。このフレーズに象徴されるように、牛丼は並盛なら税込み500円以下で食べられる手軽さがあります。

※1994年以降は”うまい・やすい・はやい”となっている。

コロナショックによる景気の後退が確実視される中、1コインで満足感ある食事を提供でき、さらに今後の外食店には必須と思われるテイクアウト機能を既に備えている牛丼店は、再び外食チェーンの勝ち組となるかもしれません。

一方、同じ牛肉料理でも、2,000円前後の金額を出してステーキを食べる時代は当分戻らないのではないでしょうか。新型コロナが契機とはいえ、時代の移り変わりの早さには驚かされます。

新型コロナウイルスの影響本格化により、今後も多くの企業で赤字転落や大幅減益が予想されます。その中で吉野家を始めとする牛丼チェーン各社の業績及び株価の行方が注目されます。

吉野家ホールディングスの過去1年の株価推移

【参考資料】
吉野家月次推移(2020年度)
吉野家月次推移(2019年度)
松屋フーズホールディングス月次報告 2020年3月期(2019年4月〜2020年3月)
すき家 月次売上推移 (2020年3月期)

石井 僚一