日銀の損失を責めるべきではない

日銀が債務超過に陥ったとして、「ETFなど買うからいけないのだ。日銀総裁は反省しろ」と言うべきでしょうか。筆者はそうは思いません。日銀の仕事は儲けることではなく、日本経済がうまく回るようにすることですから。

日銀の金融政策の基本は、国債を購入して市場に資金を提供することです。したがって、大量の国債を購入した後で国債価格が下落すれば、当然に損が出ますし、債務超過に陥るかもしれません。しかし、それは仕方のないことなのです。それと同じことです。

猛烈な円高の時、政府は為替介入ということでドルを大量に購入します。これなど、ドルが売られている時に買い向かうわけですから、儲けを狙う行為としては大変危険です。むしろ損をする可能性が高いと言えるのかもしれません。それでも、日本経済のためにドルを買うわけで、その行為は決して非難されるべきものではありません。

さらに言えば、通常の財政支出は収入がなくて支出だけあるわけですが、それも日本国のために行われていれば非難されないわけです。そう考えれば、日銀のETF購入が赤字を出したからと言って、非難されるいわれはありませんよね。

本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

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塚崎 公義