定年後もやりがいを持って働きたいと希望があっても「年だから無理かな」と思う方がいたら、ぜひ知ってほしい制度があります。それはハローワークを経由して申し込む職業訓練の機会「ハロートレーニング」です。

ハロートレーニングは、50代や60代以上のシニア層も対象の無料職業訓練制度です。さらに、一定要件を満たしている人は手当もらえるものなので、つまり「お金がもらえて、無料で学べる」という画期的な制度ということになります。

さらに、このハロートレーニングの受講生は就職率が高いという結果も出ています。「一体どんなことが学べるのか?」受講生の年代や利用方法をわかりやすく解説します。

1. ハロートレーニングとは?シニアも学べる公的な職業訓練

ハロートレーニングは、厚生労働省が実施する公的な職業訓練制度の総称で、再就職やスキルアップを目指す人を支援する取り組みです。求職者や在職者を対象に、全国のポリテクセンター(ものづくり分野を中心とした実践的な訓練を行う専門機関)や都道府県・民間機関で多様な訓練コースを提供しています。離職者訓練や在職者訓練、学卒者訓練などがあり、ハローワークを通じて受講申込みができます。

ハロートレーニング・生産性向上支援訓練のチャート図1/7

ハロートレーニング・生産性向上支援訓練のチャート図

出所:厚生労働省「ハロートレーニング」

今回はテキスト代を除いて無料で学べる「公共職業訓練(離職者訓練)」と「求職者支援訓練」についてポイントを解説します。

2. 公共職業訓練(離職者訓練)の特徴と支援内容

主に雇用保険受給者が対象「公共職業訓練」2/7

主に雇用保険受給者が対象「公共職業訓練」

出所:厚生労働省「ハロートレーニング(公共職業訓練・求職者支援訓練)の全体像」

公共職業訓練(離職者訓練)は、主に雇用保険を受給している、または受給資格のある離職者を対象として再就職に必要なスキルや知識を無料で学べる制度です(テキスト代等は自己負担)。受講期間はおおむね3か月〜2年で、実施機関にはポリテクセンター(国)、都道府県、民間教育機関などがあります。

受講内容は、電気・機械・建築などの製造系や、介護・事務・情報処理などのサービス系まで幅広く用意されています。訓練の形態には、公的な訓練施設で直接実施する「施設内訓練」と、都道府県が民間教育機関に委託して行う「委託訓練」があります。受講期間中は、基本手当に加えて受講手当(500円/訓練日)、通所手当、寄宿手当が支給される場合があります。これらの手当は受給資格や要件を満たした上で別途、申請の手続きを行う必要があります。

2.1 公共職業訓練(離職者訓練)の受講者層と就職率は?

また、令和5年度の離職者訓練の受講者は9万5752人でした。

令和5年度公共職業訓練実施状況3/7

令和5年度公共職業訓練実施状況

出所:厚生労働省「令和5年度公共職業訓練等実績」

公共職業訓練(離職者訓練)の受講者は様々な年齢層に分かれています。また、全受講者が約6割が女性で、就職率においても多くの年代で男性と同等か、それ以上の高い傾向が見られます。

公共職業訓練(離職者訓練)年齢階層および男女比率就職率4/7

公共職業訓練(離職者訓練)年齢階層および男女比率就職率

出所:厚生労働省「令和5年度公共職業訓練等実績」

受講者の就職率も高く、20歳〜64歳までは7割台、さらに65歳以上のシニア層でも66.4%が就職しており、公共職業訓練で学び、幅広い年代が再就職していることがわかります 。

3. 求職者支援訓練の特徴と支援内容

主に雇用保険を受給できない方が対象「求職者支援訓練」5/7

主に雇用保険を受給できない方が対象「求職者支援訓練」

出所:厚生労働省「ハロートレーニング(公共職業訓練・求職者支援訓練)の全体像」

求職者支援訓練は、主に雇用保険を受給できない求職者を対象としており、就職に必要なスキルや知識を無料で学べる制度です(テキスト代等は自己負担)。受講期間はおおむね2〜6か月で、訓練は基礎コースと実践コースに分かれています。

求職者支援訓練では、訓練期間中に所定の要件を満たすことで、月額10万円の受講手当に加え、通所手当や寄宿手当が支給される場合があります。また、職業訓練受講給付金の対象外であっても、本人の収入や世帯収入などの一定の要件を満たせば、通所手当のみの受給が可能です。

3.1 求職者支援訓練の人気コースと受講者層の特徴

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令和5年度求職者支援訓練実施状況

出所:厚生労働省「令和5年度求職者支援訓練実績」

2つのコースにわかれる訓練ですが 、基礎コースは社会人としての基礎的な能力を習得する訓練です 。実践コースは受講者数全体の86.5%を占め 、介護、情報、医療事務などの専門分野を学ぶことができます 。中でも「営業・販売・事務」分野が受講者数の32.1%と最も多く、次いで「デザイン」分野が30.9%を占め、これらは比較的人気のあるコースです 。また、「IT」と「デザイン」分野は応募倍率がそれぞれ1.08倍、1.28倍と他の分野に比べてやや高い傾向にあります。

令和5年度求職者支援訓練受講者数(年齢階層別及び男女別)7/7

令和5年度求職者支援訓練受講者数(年齢階層別及び男女別)

出所:厚生労働省「令和5年度求職者支援訓練実績」

また、令和5年度の求職者支援訓練の受講者は4万4699人でした。受講者は25歳〜29歳が16.1%と最も多く、60歳〜64歳で5.0%、65歳以上で1.7%と比較的幅広い年代が受講していることがわかります。就職率も全体で約6割と比較的高めで、なかでも「介護・医療・福祉」分野は約7割と安定した実績が見られます。

4. 「お金がもらえて、無料で学べる」画期的な制度

今回はハロートレーニング「公共職業訓練(離職者訓練)」と「求職者支援訓練」について解説しました。どちらも対象者はハローワークの求職者なので、受講に関する手続きなどは、最寄りのハローワークまでご相談ください。

「公共職業訓練(離職者訓練)」と「求職者支援訓練」も無料で学べて、所定の要件を満たせば受講手当などが支給されるので、つまり「お金がもらえて、無料で学べる」という画期的な制度です。「新たなことにチャレンジしたい!」と思う方には活用をおすすめします。

シニア層も含め多くの年代が利用でき、就職率も高い点が魅力です。再就職やスキルアップに不安があっても、公的支援制度を活用すれば一歩を踏み出せます。

参考資料

村岸 理美