はじめに
3月15日、「コロナショック」を緩和するため米連邦準備制度理事会(FRB)は今月2回目の政策金利の引き下げを発表しました。これにより、リーマンショックに引き続き、米国は実質的なゼロ金利政策で金融市場の安定と景気底入れを目指すことになりました。
一方、日本銀行もFRBの決定後、3月16日に前倒しで金融政策決定会合を開き、金融市場や経済の動揺をおさえるための措置を決定。具体的には、現在年6兆円としている上場投資信託(ETF)の購入目標額を12兆円に倍増することや、量的緩和を通じた資金供給も拡充するとしています。
日本銀行は3月に入り、すでに4回のETF買い入れを発表。その額は4回とも1014億円で過去最高額です。このETF購入等の施策はどこまで持続可能なのでしょうか。今回は想像をたくましくして、もはや手段が尽きたと仮定し、そのときのことを考えてみました。
※以下はフィクションであり実在の組織や人物とは関係ありません。
20XX年、金融市場に再びクラッシュがきたら…
20XX年初、大発会。年末のニューヨーク市場が一日で45%も下落する未曾有の暴落を受け、すでにシカゴの日経平均株価先物価格も40%ほど下落した。それを引き継いだ東京市場で、日経平均株価は寄り付きで6000円近辺をウロウロしている。
原因は、昨年9月に米国の超大手IT企業のGAFE(ガーフェ)が仮想通貨取引で500兆円の損失を出し破綻したことに端を発した、ガーフェ・ショックだ。日本でも100を超える金融機関がガーフェ仕組債に手を出し、軒並み大損失を出した。メガバンク最大手・三野銀行も破綻間近と囁かれている有様だ。
正月明け早々、日銀総裁の三重山は眉間に皺を寄せ副総裁の黒口を総裁室に呼んだ。
三重山総裁:黒口くん、日本経済が死に瀕している。なんとか手はないか。
黒口副総裁:三重山総裁、もうすでに手は打ってきました。2014年からの国債買い入れ、ETF買い入れ、マイナス金利導入・・・。国債の買い入れ額は1000兆円、ETFは200兆円にもなります。国債金利もマイナス3%、もうこれ以上は何も・・・。