「日銀が全上場企業の100%株主になる日」は来るのか? フィクションで考える金融政策の蹉跌

黒口: 総裁、お金がある、いや、お金を刷れるっていうのは最強ですね。

三重山:その通り。ただの紙切れや電子データでも、本当の価値があると錯覚させることができるのがこの世の中さ。日銀ブランドでお金を発行するのだから最強だ。でも怖いのはな・・・。

黒口: 怖いのは・・・。

三重山:その紙切れに価値がないってマジで思われた時だ。米ドルやビットコインのほうが、円より価値があると思われた瞬間、円は売られる。いまは有事の円高で、1ドル=50円くらいに値上がりしているが、このTOB作戦が失敗したら、間違いなく円は売られる

黒口: では、リスクヘッジはシカゴで円為替先物を売っておくってことですね。対ドルか対ビットコインで。

三重山:ま、そんなところだ。TOB作戦が成功すれば、超安定株主の日銀が持っている全株価は下がらないし、買えない株としてプレミアムがつくかもしれない。失敗しても、円ショートで儲かるって仕組みさ。

黒口: では、さっそく電報堂とNJKの記者連中を呼びましょう。明日の日経新報の一面は「日銀、全上場企業にTOB実施」でいきましょう。

三重山:黒口、おまえはマーケティングのセンスがあるな。フェイスブックとインスタにも上げといてくれ。インスタに載せる写真も撮っておこう。スマホある?

黒口:では総裁、はい、チ〜ズ!

※以上はフィクションであり実在の組織や人物とは関係ありません。

おわりに

冒頭に述べたように、3月16日午後1時過ぎに日本銀行による金融緩和政策が発表され、その後しばらく日経平均株価は前日比+300円ほど買われました。市場関係者はこの措置を一応前向きにとらえ、買いを入れたものと見られます。しかし結局は終値で前日比マイナス2.5%、429円安の17,002円で引けています。

それを引き継いだ欧州市場は、軒並み7〜8%の下落で始まりました。まさに暴落です。すでに大規模な金融緩和政策を進めている欧州中央銀行に、新たな手は残されていないと言っても過言ではありません。さらに米国ニューヨーク株式市場でも、16日の取引開始後直後に今月3回目のサーキットブレーカー発動となっています。

もうこうなったら、なりふり構っていられない政策でしか金融市場を再起させることはできないのではないでしょうか。

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太田 創(一般社団法人日本つみたて投資協会 代表理事)

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太田 創
  • 太田 創
  • 一般社団法人日本つみたて投資協会
  • 代表理事

関西学院大学卒。1985年、三菱銀行入行。1988年より約10年間、ロンドンおよびサンパウロで資金為替・デリバティブ等の運用、投資信託の管理業務に携わる。
その後、2000年からシティグループ(米)、UBS(スイス)、フィデリティ(米)、GCIにおいて投資信託のマーケティング・商品企画を統括。現在は一般社団法人日本つみたて投資協会・代表理事。
主要な著書には、『ETF投資入門 』(日経BP 2008年)、『お金持ち入門』(実業之日本社 2015年 共著)、『毎月3万円で3000万円の「プライベート年金」をつくる 米国つみたて投資』(かんき出版 2019年)などがある。