黒口: 確かに。

三重山:日銀も例外じゃない。上場企業だからTOBの対象にはなる。もっとも政府が過半数の株を持っているのがネックだ。はっきり言って、買う魅力はない。

黒口: 寂しいですね。

三重山:現実だから仕方なかろう。ま、TOBが成功して、日銀が唯一無二の全上場企業の株主になった暁には、毎年10兆円くらいの配当が入ってくる。300兆円投資して、配当利回りは3.3%。このマイナス金利下で年3.3%の利回りはデカイ。

おまけに、全上場株は日銀が持っているから、ニューヨークが下がろうと、ロンドンが下がろうと、売らなきゃ株価は下がらない。世界株のベンチマークからは常に超過収益が出るって寸法だ。

黒口: 総裁、頭いいですね。

三重山:当然だろ。

黒口: キャピタルゲインはどうされます。株を売らないとすると、値上がり益は取れません。

三重山:なあに。簡単だ。キャッチボールをすればいいんだ。つまり、日銀の中に投資口座を2つ持っておく。仮に株主ワンと株主ツーとしよう。5%の値上がり益がほしければ、株主ワンで持っている株を株主ツーに5%上乗せして売るのさ。株主ツーが株を買う資金は輪転機か日銀コインを発行すればOKだ。これで株主ワンの値上がり益は5%取れる。

株主ツ―は5%割高な株を持たされるが、日銀全体ではチャラさ。5%上乗せした時点で、株価全体も5%上げるって寸法だ。キャッシュフローは全体の5%、つまり総投資額対比で15兆円儲かるってわけだ。

それでもクラッシュが来たときは?

黒口: 仮にまたクラッシュが米国から来ればどうされます。

三重山:死んでも売らないだけさ。上場しているといっても、売り手は日銀だけだから、ガイジンであれ機関投資家であれ個人であれ、欲しがったとしても売らなけりゃ損もしないし、値崩れも起きない。なんとかショックがいつ来ても怖くはない。