完全自動化を想定していない
JR九州の自動運転では、完全自動化を最初から想定していません。
非常時には係員が非常停止を行うことを前提とし、既存の信号システムを使用して自動での発車、減速、停止を行える自動運転を行うというものです。
これが実現できた背景にはJR九州ならではの理由があります。
もともと、JR九州で導入しているATS(自動列車停止装置)は、高度な制御に対応ができるような仕様となっています。通常であれば、赤信号で侵入した際に誤操作防止のために停止操作をするようなATSですが、JR九州ではATSの高機能化を行い、完全自動まではいかなくとも、人の操作を行わずに、発車や停止といった列車の自動操作ができるような制御を可能としました。
人の運転操作と比べると少し違和感がある乗り心地ですが、自動で運転していると言われなければ分からないレベルだということです。
自動運転の際に乗車する係員は、国家資格を持つ列車の運転士ではなく、通常時は監視をしていて、非常時に安全に停止することができる人のことを言います。
通常の列車であれば、国家資格を持つ運転士が最初から最後まで運転しなければならないのに対して、非常時に停止を行うだけの「係員」であれば、人材の条件が大幅に緩和されます。