自分に名前をつけてあげよう
「アイデンティティの揺らぎ」に振り回されがちな子育てステージにおいて、有効な方法の一つが「自分に名前をつけること」ではないかと、筆者は考えています。
リアルの人間関係から離れた場所に、一つ居場所を作ってみること。その際には、ハンドルネームやユーザーネームのように、自分で名前を設定することがポイントになります。創作のペンネームでも、オンラインゲームのアカウント名でも、なんでもいいのです。
世の中に匿名で何かを投げかけるとき、あなたは自分になんという名前をつけたいですか? 単なる思いつきでもいいのですが、できれば今の自分が持っている特性や嗜好に思いをめぐらせ、名前に反映させてみてください。
──人からどう呼ばれたい? どういうイメージで見られたいと思ってる?
あらためて自分の名前や居場所を用意することで、「これまでの私」とも「ママである私」とも距離をおいた視点から、今の自分を眺めてみることができるのではないでしょうか。
世間に求められていると感じている“役割”と、自分が本来持っている“個人”としての特徴との間には当然ギャップがあるでしょう。同時に、案外重なっている部分があることにも気づくかもしれません。子どもを産む前には考えもしなかった理想の自己イメージを発見して、驚くこともあるのでは…。
まとめにかえて
「○○ちゃんママ」と呼ばれることで発生するモヤモヤした気持ちは、自己の軸や足元が揺らぐことが主な原因と考えられます。
自分は誰なのか、何が好きで何が嫌いなのか、何を考えて生きてきたのか。自己を見つめることで、「これまでの私」と「ママとしての私」は、緩やかなグラデーションを描いてつながっていくことでしょう。いつしか「○○ちゃんママ」と呼ばれることへの抵抗感も薄れているかもしれません。
自分が立っている場所を踏み固める作業は、子育て中のアイデンティティ・クライシスを乗り越える大きな力になるはずです。
中川 むすび