「お教室の子供たちのことより、身内を優先しているように感じたことをどうしても伝えたかったんです。『先生には日ごろからお世話になっています。でも、今回の発表会に関してはもう少し継続して頑張っている子供のことも考えてほしかった』という旨のことをお話しました。すると先生は表情をこわばらせ『つまり何がいいたいんですか?』と冷たい声になりました。揉めたくないという気持ちもありましたが『今回の発表の振り付けや配置は公平だったのでしょうか』と私は発言しました」

Sさんの発言にムッとした表情になった先生。すこしケンカ腰になっていたこともあり「Sさんが娘さんのことを一番の思うように、私だって親ですよ?娘をセンターにしたい、一番に輝かせたいと思うのは当たり前じゃないですか?」といわれてしまったといいます。

「心のどこかで『先生は公平な観点でみてくれている』ことを期待していました。ですが、先生の感情的な発言はプロではなく完全に『一人の母親』。娘さんを大切に思う気持ちとお金をもらって指導することを分けられない人なんだとガッカリしました」

その後、Sさんは娘さんと話し合い、お月謝も高く送迎も大変になりましたが大手のダンス教室へと異動したといいます。

子供を抱える先生の葛藤

Sさんのダンスの先生のように「数いる生徒たちの中でうちの子を一番にしたい」と思う人がいるのは仕方のないことです。しかし、多くの先生と呼ばれる方々は、そういった「親」としての側面だけでなく「先生」という側面から生徒さん一人一人と関わろうとしてくれているようです。