そんな矢先、たまたま知り合ったママさんがご近所で子供たちにダンスを教えていることを知りました。聞けばSさんの娘さんと先生の娘さんは同級生。「硬く考えず、一緒に楽しみましょう」という言葉に惹かれ、娘さんをダンス教室に入会させることにしたそうです。

娘さんは基礎を教わり、何人かでポジションを決めながら踊るダンスに夢中になっていきました。同年代のお友達と楽しむ娘さんを見ながら、入会して本当に良かったと思ったそう。

しかし、1年ほど経ったある日、Sさんの心をざわつかせる出来事が起きました。ダンス教室で発表会が行われることになったのです。9人で踊るその曲でSさんの娘さんは一番端のポジションでした。最初はなんとも思わなかったSさんですが、娘さんはもう1曲のお教室全員で踊る曲も一番端。全体のバランスを見た背の順かとも思いましたが、そういった感じでもありません。そして、どちらの曲も先生の娘さんがセンターを任されています。

「先生の娘さんは確かに上手だし、母親である先生の要望を理解しているのもわかりました。でも、どうやらそれだけではないようだったんです。発表会の少し前に先生の娘さんのクラスメイトが2名お教室に入ってきました。その子たちは、まだそんなに慣れていない段階なのにいきなり娘より目立つ位置に立っていたんです…。親のひいき目なしにうちの子の方がうまいのにという気持ちになりました」

Sさんはモヤモヤを抱えたまま発表会を終えました。日ごろあんなに一生懸命頑張る娘さんを知っているだけに「もっとメインどころで踊らせてあげたかった」と思ったそうです。その日、親子そろって発表会の打ち上げに参加したSさん。たまたま、先生と新しく入った2人の保護者の会話を耳にしました。

「先生は2人の保護者に『仲のいいお友達が入ってくれて娘も気分よく踊れたよ!ありがとう!やっぱりセンターをやらせるからにはあの子に最高の状態で踊らせてあげたかったんだよね。2人がきてくれたから今回は成功できたよ!』なんて話をしていました。そのママ友たちも『確かに真ん中の3人息ピッタリだったよねー!』なんて盛り上がっていて…親である前に教室を率いる先生としてどうなの?!と怒りが湧いてきました」

プロ意識は?

お嬢さんの気持ちを考えるとイライラが収まらなかったというSさん。先生が一人になったのを見計らい話しかけにいったそうです。