上場後初の最終赤字 主因は海外事業の不振にともなう損失

海外展開を積極的に進めるクックパッドですが、今回の決算ではロシア、ギリシャ、ハンガリー3カ国の連結子会社ののれん全額(7億6,000万円)の費用処理を行いました。クックパッドは「のれんの減損処理」を「事業計画を再度保守的に検討した結果」としており、収益性などを考慮した事による損失計上とみられます。

ここで述べられる「のれん」は、企業の買収・合併(M&A)の際に発生する、「買収された企業の時価評価純資産」と「買収価額」との差額のことを指します。

例えば時価評価純資産が80億円のA企業を、B企業が100億円で買収した場合、差額の20億円が「のれん」としてB企業の資産に計上されます。

「のれん」は各企業の会計基準により減価償却されるか否かが異なりますが、クックパッドの会計基準は「国際財務報告基準」であるため、のれんは減価償却されず、減損処理する場合は全額一括での損失計上となります。

また、「のれんの減損処理」は、「買収した企業が不振となったため、のれんを損失計上する」という意味です。

今回のクックパッドの場合で説明すると「投資のため海外企業を買収したが、収益性が悪化したため、買収時の差額である7億6,000万円全額を損失として計上した」ことになります。

つまり、今回の「のれんの減損処理」は「海外事業への投資の失敗」を意味すると捉えることができます。

なお、クックパッドは「2018年12月期決算」および「2017年12月期第3四半期決算」でも、国内事業または海外事業について「のれんの減損処理」を行っており、今期決算で3年連続となります。