2月16日の週からマスク不足が解消に向かうという政府の言及
さて、そんな折、2月12日の政府定例会見で菅官房長官が、早ければ来週(2月16日~の週、以下同)からマスク不足が解消される見通しに言及しました。会見によれば、1月28日に強い増産要請を行い、(メーカー各社が)24時間生産体制で1週間に1億枚の供給が可能になった模様です。
今回のマスク不足の要因の1つが、その多くを中国で生産していたため、中国の生産活動停止の直撃を受けたことでした。しかし、菅官房長官の発言によれば、日本国内における増産を急ピッチで推進してきたということになります。
“週に1億枚の増産”と簡単に言いますが、とてつもない量の生産です。メーカー各社の増産投資が多額に上っているのは想像に難くありません。
マスク不足への不安解消には時間がかかる?
経緯はともかく、マスク増産は明るいニュースです。しかし、これで深刻なマスク不足は解消されるでしょうか?
筆者は、完全な解消にはまだ相当な時間を要すると考えます。仮に、来週からマスクの供給量が増加しても、多くの消費者が買い貯めすると思われるからです。一度品不足で不安になった消費者の心理状態は急速には戻らないと考えるべきです。
たとえば、通常は一度に1~2袋購入する消費者が、その2~3倍購入、つまり、一度に5~6袋くらい購入する可能性があります。最初の数週間は、供給された1億枚はあっという間に店頭からなくなるかもしれません。
さらに、肝心のCOVID-19の感染拡大に歯止めがかかっていないことにも目を向ける必要があります。この原稿を書いている2月13日には、都内のタクシー運転手への感染も報告され、さらに、国内で初の死亡例も報告されるなど、感染は拡大する一方であるのが実情です。
もし、この先、子供への感染が報告される場合、大きなパニック状態に陥る懸念は拭えません。そして、もっと大きな買い占めが起きても不思議ではないのです。
国内のマスク不足はまだ続くと見たほうがよさそうです。
葛西 裕一