これらが混ざり合い、自分の中にできあがる”世間感”は侮れないもの。それを意識して、疲れているのに頑張ってしまったり、必要以上にやり過ぎてしまったりと、自分の本心や本音に勝ってしまうことも少なくありません。

「世間の価値観」に押しつぶされそうになったけれど…

学生や社会人時代も世間を意識するものですが、結婚後は、世間の勢いが一気に増します。

「2人目はまだ?」と家族計画に、「赤ちゃん寒いんじゃないの?」と育児に、「仕事より家事をして」と自分の人生に、「毎日家中をピカピカにして」と家事に、「男を立てて」と夫婦関係に、「家を建てるなら夫の実家の近くに」と住む場所に…と、何から何まで、その人の時代の価値観で口を出されることが増えるのです。

筆者も、こう言われて生まれてくる自分の中の“世間感”に、時に押しつぶされそうになりながら、次第に「育児中は世間と向き合うチャンス」と思うようになりました。

たくさんの「世間の価値観」の中で、「自分の価値観」が薄れそうになったり、分からなくなることもあります。しかし、それと同時に気付いたのが、人間は一人で生きてはいけないので一生世間と付き合うことになる、ということ。そして「世間との付き合い方」を考えることは、「自分との付き合い方」を考えることにもなるということです。

大切なのは、まず自分の本音や気持ちを大事にして、自分なりの価値観を持つこと。世間の価値観も聞く一方で、「世間=自分以外の誰かの価値観」という認識も忘れずに。

「なるほど、一理ある」と思えるものや自分に心地の良いものは取り入れるのも一つですが、自分に合わないもの・時代が違うものには、距離をとったり、気にせず流していくことも大切なのです。そうすることで自分が確立され、世間との付き合い方も分かる、良い練習になると考えました。