「フラッシュバック」との闘い、めげずに応じる夫

その後、離婚話はいったん保留にし、「しばらく様子をみてみる」と決めたものの、しばらくは「フラッシュバック」との闘いだった。

なぜ裏切ったのか、どんなきっかで始まったのか、なぜ何度も繰り返したのか、相手との行為はどうだったのか、自分と相手は何が違ったのか、いつどんなウソをついたのか、ちゃんと避妊はしたのか……。

ふとした瞬間にそんな気持ちがあふれ、激情とともに問い詰めると、夫はいつも問いに答えた。そして、そのたびに私のことを「愛してる」と言う。

日中、子どもと公園や児童館で遊んでいても、「育児中の自分の姿はきっと魅力がなかったのだろう」と急に自信を失い、涙が出そうになる瞬間が訪れ、長文のメールを打つこともあった。

すると、いつも謝罪の言葉がかえってきた。夫は不必要な飲み会には参加をしなくなり、自宅では家事をし、育児にかかわるようになった。

そうして1年後、憎しみがあふれる瞬間は減り、問い詰めてもとことん自分と向き合う夫を見て「実は、この人に愛されているのかもしれない」という気持ちになり始めていることに気づく。

長い時が過ぎてわかったこと

そのような綱渡りの日常が、いつしか盤石な日常となり、7年経った今は平凡で退屈な日常が戻っている。

夫とは晩酌をして、手をつないで眠る。義理の実家に子どもを預け、しばしばデートにも出かける。子供たちは夫が大好きで、尊敬もしているようだ。

粉々になった自己肯定感は、いろんな人と楽しい時間を過ごすことで、すっかりもとに戻った。

不倫発覚当時、この体験を話したのは、義理の両親と、1人の友達だけだ。3人ともこちらから話す以外は何も言わずに胸にしまってくれていた。

私はもうこの話を書けるようになったくらい心は回復したが、発覚直後は味方になってくれる人以外、話さないほうがいいと感じている。