・「この春、孫が小学生になるのですが『うちの小学校、みんな素敵なワンピースで参加するらしいの。うちだけ近所の量販店じゃこの子もかわいそう…』と娘にささやかれました。孫もおしゃれに敏感な女の子なので、そこは思いっきり願いを叶えてあげたいと思い『じゃあ、ばあばが買ってあげるから一緒に見に行こうか』なんて言ってしまいました。すると娘は待ってましたと言わんばかりにスマートフォンを出し『今、このお店とこのお店に絞ってるの。どっちが似合うか実際着せに行こう』とデパートへ連れていかれました。かわいい孫のためだし、多少の出費は…と思っていたのですが、孫が選んだ服は数万円するワンピース。数回しか着ないものに正直こんなにかけるの?と思いましたが、ワンピースをぎゅっと握り離さない孫の姿に胸を打たれ、購入してしまいました。それにしても、娘の店選びがしたたかで、我が娘ながら計算高いなと思いました」

・「娘が二人目の子供を秋に出産しました。上の子は男の子で、初節句の際は向こうのご両親が兜を買ってくれました。今回、女の子が産まれたということで、うちがお雛様を用意してあげなくては…と思っていたのですが、こちらから言う前に娘から『家も狭いし場所もないから、小さなお雛様とお祝いでいいよ』と提案されました。『お祝い?お金も包むの?』とイライラ。娘としては『お雛様が浮いた分、子供の将来のために現金でほしい』ということだったようです」

子育て世代からすると、行事の出費はかなりの痛手です。だからこそ「頼みやすくお財布の紐が緩い実家」をターゲットにし、その出費を賄おうというのはなかなかの策士です。

滞在の終わりには

そして、いざ実家を後にするタイミングになると、娘たちは家じゅうをなめるように見渡し、お米や調味料、仏壇のお供えもののお菓子から使い勝手の良いカシミアのマフラーまで「これ貰っていい?」なんて気軽に段ボールに詰めだします。どれもひとつひとつはそこまで高価なものではありませんが、集まると決して安くはないものたち。「あの子がくるとイナゴの大群に襲われた感覚になる」と嘆く声も聞こえてきました。そして、新幹線代を貰い荷物を詰めた段ボール代すら置いていかず帰っていく娘一家。寂しい反面「やっと帰った」なんて思うのも当然です。