元々フランスの植民地でもあったレバノンは、同じくフランスの植民地であったシリアと緊密な関係にあり、イスラエルとの激しい対立やシリア軍駐留の歴史があります。

また、レバノンにはイランが支援し、レバノン軍以上の軍事力を持つとされるイスラム教シーア派武装組織ヒズボラが拠点を置き、2006年にイスラエルとの武力衝突が発生するなど、中東紛争の多発地帯でもあります。

さらにレバノンにはイスラム教とキリスト教の様々な宗派が存在し、かつては内戦も行われました。現在は宗派ごとに議会の議席などを配分することでバランスを取るなど、国としてのまとまりを欠く状態です、

なお、ゴーン被告はレバノンのハリーリ大統領と同じく東方キリスト教会のマロン派に属しています(レバノン大統領はマロン派からの選出が慣行とされている)。

ちなみに、日本政府は2017年度末までに有償資金協力130.22億円、無料資金協力69.11億円、新技術資金協力17.56億円の合計約200億円の援助をレバノンに対して行っています。

レバノン逃亡後の”想定外”

ゴーン被告のレバノン逃亡から程なく、アメリカ軍がイラクにおいてイラン革命防衛隊のスレイマニ司令官を殺害し、両国の関係は緊張。

イラン政府はアメリカに対する報復を明言し、8日にはイラク駐留のアメリカ軍拠点に弾道ミサイル攻撃を行いました。その後、トランプ米大統領の演説で武力衝突激化への警戒感がやや和らいだとの見方もあります。