つまり、人事においても的確に社員の能力を見極める必要があるのですが、日本経営工学会論文誌に掲載された石橋貞人氏の研究(2005年)では、人事評価におけるハロー効果の存在を示しています。

要するに、本来ならばポジションに見合った能力を持つ社員を適切に配置すべきなのに、ハロー効果によって「あの人は仕事ができるからきっと部長職もできるだろう」と評価してしまったり、「あの人は仕事ができないから部下のマネジメントなんてできない」と評価することが起きてしまうのです。

日常に潜むハロー効果の実例

それでは、日常生活におけるハロー効果を3つの実例と共に紹介していきましょう。自分に思い当たるふしがないか、確認しながら読んでみてくださいね。

1. 高いお寿司はおいしく感じる

高いお寿司やレストランの料理は、もちろん上質で素晴らしいものです。しかし、上質なものと通常のものの区別がつかない場合には、わざわざ上質なものを選ぶ必要はあるのでしょうか?

実際に食べる前から、お寿司屋さんやレストランの雰囲気、店主・ウエイターの振る舞いに飲み込まれてしまい、「これだけ値段が高かったらきっとおいしいだろう」とハロー効果によって思い込んでしまっている可能性があります。

2. 広告に有名女優が出ていると安心する

一般的に消費者金融の広告には有名な女優さんが出演していることが多く、行動経済学ではハロー効果の代表的な例だと知られています。

つまり、消費者金融は怪しいイメージがある一方で、女優の上品でかつ安心感を与えるというイメージ戦略により「この女優さんが出ているから安心だろう」と思い込んでしまうのです。