余談ですが、米国の低格付け債券、しかも仕組み債を買っている日本の金融機関があるようです。これは金融危機の際に流動性がなくなって「値段にかかわらず売りたくても売れない」といったことになりかねない危険なものです。筆者は決して買いたいとは思いませんが・・。

日本経済への悪影響は限定的と期待

米中発のリスクシナリオが実現すれば、日本の輸出への影響は甚大なものとなるかもしれません。しかし、輸出が激減しても、日本経済への影響はリーマン・ショックと比べ物にならないほど小さいもので終わるだろう、と筆者は考えています。

その根拠は、少子高齢化で景気の波が小さくなっていることです。労働力不足の時代なので、輸出企業をリストラされた人がすぐに次の仕事を見つけることができ、消費が落ち込まずに済むのです。

今ひとつ、高齢者は所得と消費が安定しているので、消費者に占める高齢者の比率が高まると景気が安定します。高齢者向けのサービスに従事している人の所得と消費も安定しているので、その効果はかなり大きいと期待されます。

この点について、詳しくは拙稿『日本の景気があまり変動しない時代がやって来る』をご参照いただければ幸いです。

本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

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塚崎 公義