問題は、それが急に起きる可能性です。米中間では巨額の取引が行われているので、それが一気に止まってしまうと世界経済への打撃は巨大なものとなりかねません。

米中ともに、そうした事態は望んでいないはずですが、ケンカというものは、いつ何が起きるかわからない怖さがあります。リスクシナリオとして頭の片隅には置いておきましょう。

米中には金融危機のリスクも

中国は、過剰債務問題を抱えています。最近では企業の倒産も増え始めているようです。悪くすると、倒産が続発して貸し手が与信に慎重になり、金融危機に発展してしまうかもしれません。中国政府も警戒感を強めている模様です。

中国政府の危機管理能力の高さはリーマン・ショックの時に十分認識しましたので、今回も大丈夫だろうとは思いますが、金融危機対策が権力闘争の人質にされてしまう可能性は捨てきれません。これもリスクシナリオとして頭の片隅には置いておきましょう。

米国でも、低格付けの債権が増えているので、何らかの拍子にデフォルトが増加し始めると、一斉に低格付けの与信が行われなくなり、パニック的な低格付け債券の売りが発生する可能性もあります。リーマン・ショックの小型版のような事態に陥るかもしれません。

人民元で金融危機が発生しても痛むのは中国経済だけですが、基軸通貨である米ドルで金融危機が発生すると、世界中の貿易や投資に大きな影響が及びかねません。可能性は低いと思いますが、これもリスクシナリオとして頭の片隅には置いておきましょう。