今年の景気も「薄曇り」がメインシナリオ

景気は自分では方向を変えませんから、政府が何もせず、海外からのショックがなければ、今年の景気は引き続き横ばいか、わずかに下向きの薄曇り、ということになるでしょう。

実際には、政府は景気対策をしっかり行うようですし、海外についても米国は利下げを中断しましたし、先進国の景気先行指数は下げ止まっている模様なので、国内の景気は悪化していく可能性よりも改善する可能性の方が若干高そうですが。

東京オリンピックが終わった後の不況を心配する声も聞かれますが、前回の時と比べると日本経済の規模が格段に大きくなっているので、「経済規模との対比で見た東京オリンピック特需の大きさ」は格段に小さいはずです。

しかも、「労働力不足だから、東京オリンピックが終わってから着工しよう」という建設プロジェクトも多いようですので、心配は無用だと思います。

米中冷戦のリスクシナリオには要注意

米中関係は、貿易戦争と言われていますが、覇権を懸けた冷戦の様相を深めつつあります。トランプ大統領が勝手に中国とケンカしているのではありません。米国議会は超党派で中国を困らせるための法律を次々と可決しているのです。

「中国が不正な手段で米国の技術を盗み、それを使って世界の覇権を握ろうとしている。今のうちに叩き潰しておかないと大変だ」という危機意識が根底にあるわけです。

そうなると、将来は「米国企業、同盟国企業は中国とは取引するな」ということになるかもしれません。少なくとも、そうした方向に少しずつ進んでいくことは覚悟しておいた方が良いでしょう。