埼玉県に住んでいたTさんご夫妻。ご主人の退職後、二人の息子さんが結婚したことを機に一軒家を処分して都内ののんびりした地区のマンションへと移り住みました。Tさんたちがこの選択をしたのにはさまざまな理由があったそうです。

「息子たちはそれぞれ新しい住宅を購入しました。つまり、この先この家には誰も住まなくなるということ。そう考えるとこの家は老夫婦二人には広すぎる。そして、年老いたとき何十年も住んだこの家を誰が整理するのか考えました。

夫婦でできればいいですが、この先そんな元気が残っている自信はありませんでした。息子たちはもちろん、その奥さんたちに迷惑がかかってしまうのではないか。そんな話を夫婦でしていたときに、ちょうど程よい大きさのマンションを見つけました。

今まで一軒家でしか暮らしたことのなかった私たち夫婦ですが、話を聞くと他の契約者の中にも私たちと同世代の方もいるとのこと。駅から近く、スーパーや病院といった必要な施設も徒歩やタクシーで手軽に行ける場所だったため、これから車に乗れなくなってもここでなら便利に暮らせるのではないか、ということになりました」

そして、Tさんご夫婦は息子さんたちにそのことを相談。息子さんたちも二人の意思を尊重してくれました。

「ありがたいことに住んでいた土地などを処分したお金と蓄えていたお金でローンを組むことなくマンションが購入できました。息子がいうには、駅前のマンションなので今後もそんなに値崩れすることもないだろう、と。今後どちらかが亡くなり、片方が施設に入ることになったらそのときにここを売るのも一つの考えではないか、という結論に至りました」

新しいマンションに大満足だというTさんご夫婦。悩みやデメリットはなかったのか伺うと、今まで付き合ってきた人間関係が希薄になってしまった点をあげてくれました。

「地域の行事などはやはりその土地に長く住んでいらっしゃる方々が中心となって活動しているので、入っていきにくいところはあります。病院の待合室なども同様です。でも、同時期に入居した私たち夫婦のような方とは会えばお話もするし、新たに習い事もはじめそこではお友達もできました。主人は犬の散歩で知り合いができたとマイペースに楽しんでいます」

住み慣れた田舎で生涯を終えたい派