一方、地方在住のMさんご夫婦。こちらも三人のお子さんたちがそれぞれ独立し、広い自宅にはご夫婦二人で住んでいるそうです。

「都会で暮らす子供たちはマンションを購入しました。でも、そこは会社や学校に行くための利便性がよい場所。こちらに比べたらやはり手狭に感じます。息子も田舎暮らしが好きなので、もしかしたらこっちへ戻ってきたいと思うのではと考えるとこの家を残してあげたいという気持ちがあります」

また、ご夫婦二人もこの家を離れたくない理由がそれぞれあるそうです。

「夫は生まれてからずっとこの家に住んできました。そのため、他の土地で暮らすなんて想像もしたことがない人。私もここへお嫁にきて、近所の方々とお付き合いをしてきたのでいまさら他の場所へなんて…。大きな病気はまだありませんが、地元にはお世話になった先生方もいてくださるのでその安心感は何ものにも代えがたいと思っています。あとは、ご先祖様から受け継いだ土地、という思いが強く、それは息子も感じてくれていると思います。ただ、どちらかが亡くなった後や車が運転できなくなったらどうしたらいいのかという不安はあります。なんらかのサービスが受けられるといいのですが」

長年築いてきたものを手放さずに暮らしたい、というMさんご夫婦。スタイルを変えずに暮らしていくメリットの一方、自分たちの身体が動かなくなった際の子供たちへの負担などを口にしていました。

老後の選択はさまざま